ギャッベと言えば、可愛らしい素朴な紋様が特徴です。その模様ひとつひとつにも、カシュガイの女性たちの願いが込められているんです。
ここでは、紋様についてご紹介します。
生命の樹…長寿・健康を意味しています。糸杉という木がモチーフで、糸杉は真っ直ぐに天高く伸びる力強い木です。イランは雨が少なく低木が多いため、高くそびえる糸杉の姿に生命力を感じ、生命の樹に長寿・健康の祈りを込めました。
羊・ヤギ…富・財産の意。遊牧生活の中で羊やヤギは大切な財産です。豊かな生活が出来るようにとの願い、また生活の糧を与えてくれる羊やヤギへの感謝を表しています。
ラクダ…「成功」の象徴。1980年頃までラクダは遊牧民にとって家財を運んでくれる動物でした。富を運ぶということから、成功の象徴という意味が込められるようになりました。
鳥…幸運の意。天から幸せを運んでくると信じられている鳥。家族の幸せや幸運を願って織り込みます。中でもクジャクは美しさの象徴するものとして織り込まれます。
シカ…家庭円満。子どもに寄り添って大切に子育てすることから家庭円満や家族団欒の象徴とされています。羊やヤギとの見分けが難しいです。
子ども・女性…子どもを強調しているデザインは健康への願い、女性を強調したデザインには子孫繁栄の意味があります。
狼の足跡…魔除けの意。財産である羊がオオカミに食べられてしまうことがあるため、肉球を織り込み魔除けを表現しています。遊牧民にとっては天敵ですが、敢えて織り込むことでこれ以上悪いことが起こらない、また害をなす悪い生き物が入り込んでこないように防御するという意味があります。
ザクロ…実が沢山なることから子孫繁栄の意味があります。
四角…窓。幸せを呼び込む入り口という意味があります。また、「水場」や「井戸」を表す場合もあり、砂漠で暮らす遊牧民に欠かせない水源を織ることで、身近なものへの感謝を表しています。
ジグザグ…水の流れを表しています。生活に欠かせない水への感謝を込めて織り込んでいます。縦ジグザグ→川、横ジグザグ→泉と言われています。
ライオン…王様の象徴。深い知恵と豊かな財力、強靭な肉体と大きな権力を持った存在です。
ケルマック…魔除け。小さい虫を表しています。悪いもの邪悪なものが入ってこないように。
ひし形…『メダリオン』。ペルシャ語では『トランジ』と呼ばれます。カシュガイ族の家紋のようなアイデンティティの役割もあります。
花…春への憧れ。カシュガイ族の女性が抱く暖かな過ごしやすい春への憧れが込められてるいます。
V…男性が狩りで使う矢尻を表す。力強く飛ぶ矢の先にある希望や憧れを表しています。
X…終わることなく未来永劫続くという意味。家族の健康や幸せがずっと続いて欲しいという願いが込められています。
長くなってしまいました。自然と対峙して生きているからの紋様、そして家族への健康や幸せへの願い、周りの自然への感謝など様々な願いや祈りを込めて織られているのですね(*^^*)