草木染めについて
ギャッベの大きな魅力である色。
『優しいかんじがする』『飽きがこない色』と言う声がギャッベを観にご来店くださるお客様から多く聞こえて来ます。
その色の答えは、、
人にも環境にも優しい草木染めです。
イラン・シラーズに自生する植物などをつかい、およそ30種類の染料で300種類もの色が作り出せるそう。
その分、染めの工程は複雑で、幾世代にも受け継がれてきた職人の技術と経験と勘を要する作業で、それこそが色出しの決め手となります。
ギャッベのレシピでも触れていますが、かつてはカシュガイ族それぞれのテントで染められていましたが、需要の増加・安定した商品の提供から、今は集荷されてシラーズにあるゾランヴァリ社の染色工場で厳しい管理のもと、草木染めされています。

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赤…西洋アカネの根っこなど
黄…ザクロの皮など
緑…ジャシール(葉っぱ)など
青…インディゴなど
茶…クルミの皮など
オレンジ…ウコンなど
オリーブ色…ユーカリの葉など
白・肌色・灰色…無染色
赤の場合は、大釜で48時間。他はおおよそ24時間程度煮るそうです。
草木染めがもたらす色彩はなんとも言えない魅力があります。時間が経てば経つほど絶妙な味わいが出てきます。また、同じ色で染めてもウールによる染色性の違いが出て、この違いを自然のグラデーションとして生かしています。化学染料では絶対に出ないこの偶然の芸術性もギャッベの大きな特徴といえます。
ギャッベの紋様
ギャッベと言えば、可愛らしい素朴な紋様が特徴です。その模様ひとつひとつにも、カシュガイの女性たちの願いが込められているんです。
ここでは、紋様についてご紹介します。

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生命の樹…長寿・健康を意味しています。糸杉という木がモチーフで、糸杉は真っ直ぐに天高く伸びる力強い木です。イランは雨が少なく低木が多いため、高くそびえる糸杉の姿に生命力を感じ、生命の樹に長寿・健康の祈りを込めました。
羊・ヤギ…富・財産の意。遊牧生活の中で羊やヤギは大切な財産です。豊かな生活が出来るようにとの願い、また生活の糧を与えてくれる羊やヤギへの感謝を表しています。

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ラクダ…「成功」の象徴。1980年頃までラクダは遊牧民にとって家財を運んでくれる動物でした。富を運ぶということから、成功の象徴という意味が込められるようになりました。
鳥…幸運の意。天から幸せを運んでくると信じられている鳥。家族の幸せや幸運を願って織り込みます。中でもクジャクは美しさの象徴するものとして織り込まれます。
シカ…家庭円満。子どもに寄り添って大切に子育てすることから家庭円満や家族団欒の象徴とされています。羊やヤギとの見分けが難しいです。
子ども・女性…子どもを強調しているデザインは健康への願い、女性を強調したデザインには子孫繁栄の意味があります。
狼の足跡…魔除けの意。財産である羊がオオカミに食べられてしまうことがあるため、肉球を織り込み魔除けを表現しています。遊牧民にとっては天敵ですが、敢えて織り込むことでこれ以上悪いことが起こらない、また害をなす悪い生き物が入り込んでこないように防御するという意味があります。
ザクロ…実が沢山なることから子孫繁栄の意味があります。
四角…窓。幸せを呼び込む入り口という意味があります。また、「水場」や「井戸」を表す場合もあり、砂漠で暮らす遊牧民に欠かせない水源を織ることで、身近なものへの感謝を表しています。
ジグザグ…水の流れを表しています。生活に欠かせない水への感謝を込めて織り込んでいます。縦ジグザグ→川、横ジグザグ→泉と言われています。
ライオン…王様の象徴。深い知恵と豊かな財力、強靭な肉体と大きな権力を持った存在です。
ケルマック…魔除け。小さい虫を表しています。悪いもの邪悪なものが入ってこないように。
ひし形…『メダリオン』。ペルシャ語では『トランジ』と呼ばれます。カシュガイ族の家紋のようなアイデンティティの役割もあります。
花…春への憧れ。カシュガイ族の女性が抱く暖かな過ごしやすい春への憧れが込められてるいます。
V…男性が狩りで使う矢尻を表す。力強く飛ぶ矢の先にある希望や憧れを表しています。
X…終わることなく未来永劫続くという意味。家族の健康や幸せがずっと続いて欲しいという願いが込められています。
長くなってしまいました。自然と対峙して生きているからの紋様、そして家族への健康や幸せへの願い、周りの自然への感謝など様々な願いや祈りを込めて織られているのですね(*^^*)
ギャッベの種類
吉田木工で扱うギャッベは、つくる部族民によって分類しています。
ギャッベ…一般的なギャッベの総称。使われるウールは太く、長い毛足をもつ。素朴な印象を与えるのが主流。
シャクルー…シャクルー族がつくる絨毯は横糸が2本ではなく(通常は2本)、1本で織られている。そのため、非常にしなやかで柔らかな感触が特徴。
アマレ…アマレ族は『働く人』を意味し、カシュガイを構成する一部族。目が詰んで滑らかな肌触りのワンランク上のギャッベ。
カシュクリ…カシュクリ族は絨毯づくりにおいてとても重要な位置を占める部族。ウールの質も織りの細さもルリバフとともに最上位。しなやかで艶があり、使うたびに上質感があがります。
ルリバフ…織り子の中で最も技術が高いと言われるルリ族。カシュクリよりさらに細かい織りで、また風景や動物をモチーフにしているカシュクリに対し、幾何学模様や古典的なデザインなのが特徴です。
オールドギャッベ…30~100年前に作られたギャッベ。丁寧にクリーニングされたもので、経年変化でしか出せない独特な深みのある色や、新しいものにはない光沢感と柔らかさがあります。
ランドスケープ…アマレやカシュクリの中でも、景色や風景をそのまま織り込んだ風景画のようなギャッベをランドスケープといいます。通常より高い技術が必要です。
吉田木工で扱うギャッベは主に『アマレ』『カシュクリ』がメインで、ときどき『ルリバフ』『オールドギャッベ』『シャクルー』という感じです。
年に2回開催しているギャッベ展では、『ルリバフ』『オールドギャッベ』なども通常より多く集まり、希少なランナーサイズのギャッベなど大小400枚ほどの圧巻のギャッベが並びます。
興味のある方には吉田木工オリジナルのギャッベパンフレットとギャッベ展の招待ハガキを郵送してますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください!
それぞれの部族により、特徴の違うギャッベ。知れば知るほど興味が湧いてきます。また、ウールの質は写真では分かりません。長く使用していく上で重要なのはウールの質は外せません。ご自身の目と手でしっかり確かめることをオススメいたします!
ギャッベとは
イラン南西部にあるザクロス山麓で生活する遊牧民『カシュガイ族』の女性が手織りで作る絨毯です。
羊を放牧し、その毛を刈り、手で紡いで糸にして、草木で染め、丁寧に織り上げます。
2010年、この織りの技術が『世界無形文化遺産』に登録されました。
大自然の中で生きるカシュガイの女性たちが、天と地にある森羅万象を感性豊かな心でとらえ、家族の幸せを感じ、願いながら織るギャッベは、サイズは不揃いで模様は気まぐれに並び、色合い・ムラも同じものはありません。
『唯一無二』であること。そして、その未完成さこそがギャッベ最大の魅力であり、その中には幸せを願う女性たちの温かな気持ちや、誇り高く生きてきたカシュガイ族たちの長い歴史が深く刻まれているようです。
ギャッベの材質は天然ウール100%で、朝夕の気温差30度という厳しい環境で育った羊の上質な純毛です。動物の毛にあるキューティクルは開いたり閉じたりして、毛の中の水分を一定に保とうとするのですが、朝夕の気温差が±30度という厳しい環境で育まれた羊の調湿効果は驚くほど優れています!
冬は室内の暖かい空気をためこみホカホカと、夏はべとつかずに表面はさらりとして、ひんやりとした肌触りになります。
さらに上質なウールは空気を浄化する効果もあるので、季節や場所を選ばず、一年中快適にお使いいただけます。
また、耐久性も抜群です。
ザクロス山麓のゴツゴツした岩肌で、土足で40年、50年と使っても丈夫な絨毯です。日本人の家の中で靴を脱ぐ生活では、100年以上、世代を超えてご使用いただける絨毯です!
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